石斧と漆・弓矢

 石斧の柄と弓矢・漆

 石斧の柄と思われるものが5点出土した。明らかに未成品と思われるものが1点含まれる。1998年度の調査で4点出土している。更なる調査で石斧を装着する際に組み合わせる部材が1点見つかった。桜町遺跡で出土した石斧の装着方法は今まではっきりしていなかったが、新潟県三島郡和島村の大武遺跡で出土した遺物によってその方法が明らかになった。この方式は石斧を柄本体に乗せ、左右と上から別の部材を組み合わせ、蔦などの植物質のもので締め上げていたと考えられ、他の地域では全く例のないものである。

 

 出土した弓の本体は完形ではなく、残存長さが約137.5cm、直径1.32.0、推定される全長は175cm程度と考えられる。形態は「反曲弓」で、弦をかけた場合逆側に強く反り返り、弓を飛ばす威力は「直弓」より強い。弓の両端部の弓弭(ゆはず)には弦をかけるための加工が施されている。その弓弭付近と、弓を構えた際に矢が当たる部位の矢摺りなどには、黒漆で簡単な装飾文様が描かれている。弓弭の一部に赤味が残っていることから、朱漆も塗られていた可能性がある。「飾り弓」に分類される。又、弓弭は弓の上端を「末弭(うらはず)」、した端を「本弭(もとはず)」と呼び、木の本は強く、末は弱いので上下の均衡をとるために「樋」という溝を切る加工も施されている。

 漆器

 口径1720cm、高さ7cm、深さ5.5cm、厚さ48mmの朱漆塗りの木製容器が川の中から出土した。内外面に漆の赤色顔料のベンガラを混合したものを塗り、丁寧に仕上げてある。付着した土をクリーニングすると艶やかな朱色が現れたが、朱は空気に触れると急速に変色するため、写真にしかその色は残せない。外面にはトッテがあり、外面底部には同心円状の彫刻が施され、朱漆と黒漆で装飾されている。樹種はケヤキである。

(小矢部教育委員会)

 

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