カルナック列石 フランス

 カルナック(フランス)

  

  フランスの北西海岸カルナックに「石の並木道」と呼ばれる歴史以前の巨石文化のあとがある。

  高さ4mをこえる石を含む、全部で約2,730巨石が、10数列に立ち並び延々3km以上続いているのである。

  太陽信仰に由来するともいわれるが、何のためにこのようなものを作ったのかは、未だに判らない。

  しかし、何とも異様で荘重な石の列である。

  古代人は無限の世界への祈りを石を並べることによって表現したのであろうか。(NHKエンタープライズ「未来の遺産」)

カルナック列石

    フランスのカルナック列石は、3群あり、花崗岩の自然石が東西方向に1013列たてならべられている。その長さは、1km以上のものもある。    起源や目的には諸説あり、よくわかっていない。

カルナック列石 カルナックれっせき Alignements de Carnac 

フランスにあるヨーロッパ有数の巨石記念物。ブルターニュ地方モルビアン県カルナック村にある。新石器〜青銅器時代初頭に西ヨーロッパに広がっていた巨石墓文化遺跡のひとつ。同様の巨石記念物には、イギリスのストーンヘンジがある。

列石(アリニュマン)は、メネク、ケルマリオ、ケルレスカンの3群にわかれ、それぞれ立石が東西方向に列をつくってならぶ特異なものである。メネクは幅100m、長さ1167m、ケルマリオは幅101m、長さ1120m、ケルレスカンは最大幅139 m、長さ860mで、メネクとケルレスカンには半円形をえがく立石群ものこっていた。立石の総数は2800個におよび、立石の高さは約1〜6mである。

これらの遺構は太陽崇拝に関係しているとか、神殿とかいわれるが、確かなことはわからない。遺跡の一部からは墳墓の石室が発見されており、墓地としてつかわれたとも考えられている。

カルナック列石

   ブルターニュ地方モルビアン県カルナック村の列石は、ヨーロッパ有数の巨石記念物。なんらかの宗教遺構、墳墓としてつくられたらしいが確証   はない。総数約2800個、高さ1〜6mの高さの立石が、幅100〜130m、長さ860〜1200mにおよぶ3つの列石群をつくって東西方向につらなり不思議な景観を演出している。これらは新石器時代から青銅器時代の初期にかけてのものである。

  

  巨石記念物 きょせききねんぶつ Megalithic Monuments 

自然のままか、あまり加工しない大きな石をもちいてたてられた建造物。新石器時代〜青銅器時代のものが多く、世界じゅうにある。なかでも西ヨーロッパの巨石記念物は、前4000年にはじまったといわれる。ピラミッドや巨石神殿など、切石による建造物はふくまない。

巨石記念物は大きく4つに分類できる。第1はメンヒル(立石)やモノリス(単石)とよばれるもので、単一のしばしば柱状の巨石。20mをこえる巨大なものもある。この中にインドネシアのスラウェシ島の石人やポリネシア東端のイースター島の巨像(モアイ)などをふくめることもある。

第2はストーン・サークル(環状列石)で、数十個のモノリスを環状にたてならべたもの。イギリスのストーンヘンジに代表されるが、日本では秋田県の大湯環状列石が有名である。

ストーンヘンジ

   ストーンヘンジは、中心に高さ7mほどの巨大な組石5組を馬蹄形に配置した巨石記念物である。イギリス南部、ソールズベリー平野のほぼ中央  にあり、前3000〜前1000年ころに3段階にわけて造営されたと考えられている。この巨石記念物がどのような目的でつくられたのかはわかってい  ない。かつてはケルト人の信仰するドルイド教の祭祀(さいし)場とか、ローマ支配時代の神殿とみる説があったが、現在では太陽信仰と関係の深  い祭祀場、あるいは天体の運行をもとにした時計か暦であるとする説が有力である。

第3はアリニュマン(列石)とよばれる列状のもので、フランスのカルナック列石に代表される。

エーブベリーのストーン・サークル

   空からみると、円形の構造がよくわかる。土塁の内側にきずかれたサーセン石のサークルの中には、さらに2つのサークルがある。17世紀以前  には、魔女のくる場所として恐れられて近づくものもなかったため、巨石のほとんどがのこり、とぎれのない環をつくっていた。その後、石は少しず  つとりのぞかれ、建築用資材としてつかわれた。有名なストーンヘンジの北約30kmにあり、前2800〜前2700年ころの築造。

 第4はドルメン(支石墓)で、数個のモノリスを支石とし、その上に大きな天井石をのせた墓の遺構である。ヨーロッパにもっとも多い巨石記念物  で、スカンディナビア半島からイベリア半島まで5万基以上ある。一般に石を露出したものをいうが、ヨーロッパでは築造時に土をもって墳丘にした  石室墓もふくむことが多く、現在、大半は土をうしない巨石が露出している。それらの中には、遺体を埋納する玄室へ通じる羨道(せんどう)の壁や  天井に幾何学模様や自然がえがかれたものがある。ドルメンはヨーロッパだけでなくインド、東南アジアなど世界じゅうにみられ、東アジアでは朝   鮮半島を中心に中国や日本にも分布している。

エーブベリーの列石

     エーブベリーのストーン・サークルは、イギリスのイングランド南部にある新石器〜青銅器時代の巨石記念物である。3つのストーン・サークル   のうち最大のものは、高さ約4mの巨石が外径320mほどの環状にたちならんでいたが、現在は30個ほどしか確認できない。遺跡全体の広さは   11.5haにおよぶ。

大湯環状列石

      野中堂の列石。大湯環状列石は、野中堂と約90mはなれた万座の2地点がよく知られている。ともに川原石をしいた直径40〜46mほどの  外帯と直径12〜18mほどの内帯からなっている。外帯と内帯の間には、形から「日時計」とよばれる中央に立石をもつ石の遺構(写真中央)がいく  つかずつ配されている。これらの遺構は墓地としてつかわれたものと考えられている。秋田県鹿角市十和田大湯。縄文時代後期。

アイルランドのドルメン

     アイルランド南西部のバレン地方にのこるドルメン。ドルメンは「巨人のテーブル」といわれてきた巨石記念物で、アイルランドだけでなく、イギ  リスのウェールズやイングランド西部にもよくみられる。墓の遺構と考えられている。